<文化シリーズ第2弾>インドには何故多様性が生まれたのか?アヒムサーと豊富な資源に見るインド。
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インドに多様性が生まれた理由
インドを一言で表すと多様性という言葉がしっくりとくる。
巷でも同様の言い方をされることが多く、非常に興味深い。
では、この多様性をもたらしたものは何か。
もちろん、複合要因ではあるが、その内の幾つかについて考えてみた。
侵略されても侵略することはない人々
侵略の歴史はあったか、
今一度簡単にインドの歴史を振り返ってみたい。
紀元前にはドラヴィダ系の人々がモヘンジョダロやハラッパという素晴らしい遺跡を構築しそこに都市文明を発展させた。
そしてアーリア人が西から侵入し、
北からはヒマラヤ山脈を越えて中国などから人が入ってきた。
東からはミャンマーから山脈を越えてモンゴロイド系の人達が入ってきた。
かの有名なインパール作戦もまたこのルートを通過したものと思われる。
島嶼地域にはポリネシア系の人もいるという。
しかし、インドがヒマラヤ山脈を越えて中国に進出した話は聞いたことは無い。
インドが西ベンガルやマニプール(下記地図参照)などから東に侵略した話も聞いたことが無い。
インドから西側(パキスタン以西)に侵略した話も聞いたことが無い。
インドに来た人々は外に出て行かない
西から入ってきたアーリア人。
どこかに出て行っただろうか。
否、北インドに定着しヒンドゥー教を築き上げ、今となっては無くてはならないインドの一員である。
では、北から入ってきた中国系(モンゴロイド系)の人たちはどうか。
どこかに移動していったか。
否、今でもジャンムーカシミールやヒマチャルの北部に多くのモンゴロイド系の人が住んでいる。一瞬、中国?と思うぐらいに彼らは我々がイメージするインド人とはかけ離れた顔をしている場合もあるから驚きである。当然パキスタンも近く、中東系の顔を持つ人も多い。
では、東から入ってきた人はどうか。
どこかに移動しただろうか。
否、彼らもまたその地に定住している。
勿論その地域は限定的だが、アッサムやマニプールなどの山岳地帯には
これまた外見ではインド人と判断できない方が多い。
依然コルカタに宿泊した時の話であるが、受付に日本人を彷彿とさせる表情をしたスタッフがいた。
思わず、出身を聞いた。
彼女曰くマニプールからだという。
上記のようにミャンマーに接しており、北にはブータンや中国が近い。
勿論皆インド人であるが、その顔は我々の想像するアジア人という枠の方がしっくりとくる。
宗教も同じである。
イスラム教も幾度となくインドに押し寄せてきた。
キリスト教も入った。しかし、インドからこれらの宗教が発信されていったというのはあまり聞かない。
なぜ外部への侵略を控え、定着したのか
世界の歴史に目をやると、侵略の歴史を繰り返した地域の方が圧倒的に多い。
決して褒められたものでは無いが、日本も朝鮮半島や中国に足を運んだ歴史が存在する。ヨーロッパの国々は言うまでもない。インドにはイギリスもポルトガルも侵入してきている。
アヒムサーに見出すインドの歴史
モヘンジョダロは紀元前の遺跡である。その頃からそこには文明があった。
元々定住していたドラヴィダ系の人も、西から入ってきたアーリア人も誰も侵略を試みたことは無い。
上記記事内でも触れたが、内戦もほとんどと言って経験が無い。
ムガール帝国の栄枯盛衰はあった。しかし、中国の三国時代の様な、日本の戦国時代の様な歴史は無い。
なぜ侵略の歴史を残さなかったのか確かな理由は無い。
しかしこれもまたアヒムサー(非暴力)の考えが大きく関与しているのかもしれない。
多様な気候、肥沃な土地、豊かな農業資源がもたらした幸福shimabrog.hatenadiary.jp
この記事内で詳細は述べたが、インドの大地は非常に肥沃である。
ガンジス川流域はかつて海だったと言われている。その流域の堆積物は非常に多くインドの中でもさらに肥沃な地帯として有名である。
北では小麦が収穫でき、南では米が収穫できる。
栄養豊富な果物も多い。バナナ、マンゴー、パパイヤ、パイナップル・・・何でも手に入る。
熱帯作物は豊富だがそれだけではない。北に行けば冬のような気候も存在する。
つまり、ありとあらゆる野菜が生産できるのである。
豊富な食料資源と広大な土地に恵まれ、とうとう侵略という行為に意味を見出さなかったのかもしれない。侵略しなくても自国に十分な農地があり、食に困ることはなかったのである。
実際、インドには格差が広がっていると言うが、どれだけ貧しい人でも餓死というのはほとんど聞いたことが無い。現代でも多くの人が餓死で亡くなるアフリカとはまた環境が異なるのである。
~多様性をもたらしたのは定着の歴史~
何度も述べて申し訳ないが、侵略の歴史を持たなかった理由は定かではない。
ただ、「非暴力の精神」と「余り有る食料資源」が少なからず影響を与えているのではないかと個人的には推察する。
多様な民族が定着し、多様な宗教も定着した。
こうした歴史がまさに今のインド或いはインド人の多様性を生み出したのは言うまでもない。
パキスタンの国境では争い事が絶えない。確かに都市部と田舎では格差は存在する。
だからと言って、皆がそれに不満を抱えている訳でもなく自分の生活を自分なりに楽しんでいる。
豊富な食料資源を背景にインドはどこかの国に依存することなく独立しており、ある意味精神的にも「最も平和な世界」が広がっていると言えるのかもしれない。
格差こそあれど、笑顔を絶やさないインド人を見ながらそう物思いに耽ってみた。
ささやかなお願い(^^♪
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