<雑学シリーズ第7弾>スズキもホンダもモンスーンとにらめっこ!?
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モンスーンって結局何?
モンスーンと聞くと上の写真の様な光景を思い浮かべる人が多いかもしれない。
私もその一人だが、モンスーンは特に雨季を表わしている訳ではなく、正確には季節風を表わしている。
インドでも年中吹いているわけだが、その向きが時期によって異なる。
10月ごろから5月ごろにかけては北東の内陸から乾燥した季節風が吹く。
そして徐々にその風が弱まり、6月ごろから次第に南西からの季節風に切り替わる。
当然、南西からの季節風は海を通るためたっぷり水分を含んでいる。
その結果、インドでは南西部から順番に雨季が始まる。6月から9月の僅か4カ月で1年の80%近くの雨をインドにもたらす。
下の表はムンバイの一年間の気候推移を表わしている。
これを見るとその降水量が一目で理解できるが、凄まじい量が短期間に降っている。
そして街によっては河が溢れ、洪水となる。特にガンジス河が流れ込む東インドではその洪水の影響を受けやすい。
インドの気候はモンスーンだけではなく、非常に多様なので詳細は別途記事に纏めております。
モンスーンがもたらすメリット
毎年洪水が発生して家が浸水したりすると何だか嫌になってきそうだが、モンスーンがインドにもたらす物はデメリットだけではない。
簡単な話だが、インドの大地に水を供給してくれる。
インドでは年中野菜を栽培している訳だが、乾季にも当然たくさん野菜を生産している。では、乾季に使う水はどこから供給されるかと言うと、雨季に溜まった地下水や河川水、池などがそれに該当する。
つまり、雨季の大雨があってこそインドの農業は成立する。
昨年度は何十年に一度の大干ばつであった。驚く程水が無くなるのである。
当然、農家の動きは鈍く、水が無いなら無理して野菜を作付しない農家も多かったようだ。
スズキやホンダもモンスーンを注視しているのはなぜ?
農業関連の会社がモンスーンの動向を注視しているのは至極当然であると言える。例えば、農薬会社はモンスーンの量によって農家の動きが変わるため、雨量によってはその売り上げが大きく変動することになる。
では、なぜスズキやホンダの様な製造業の会社がモンスーンを注視しているのか。
勿論、大雨による工場への浸水を防ぐにはどうすれば良いか、社員の安全を如何に確保するかなどの課題もあるであろう。
しかし、最も深刻なのはインド人の消費意欲である。
インド人は未だに大半が農村部で生活している。その割合こそ減少傾向にあるものの、依然70-80%以上は農村部で生活していると言われている。
前述したように南東からのモンスーンが弱まると、雨量が減り、干ばつが起きる。
水が少なければ野菜の収量は減少する。もっと言えば、農家は作付自体を減らす可能性も高く、そうなると当然収入も減るため大きな買い物は控えるようになってしまう。購買意欲が減少してしまうのである。
するとどうなるか。
日常生活に必須な食料品は購入するが、バイクや車の購入は一年見送る人も多いと言う。極端に思うが、モンスーンの長さが一日変わるだけで、バイクの販売量が増減する。
つまり、スズキやホンダはモンスーンの長短を観ながら、車やバイクの生産台数を調整しなければならないのである。
これが彼らもモンスーンを注視している理由である。
まとめ
日本では梅雨が多少長引こうが、短くなろうが経済に与える影響は大して大きくない。
しかし、農業大国インドに於いては一国のGDPや経済成長がモンスーンの長短によって左右されるのである。中々想像しがたい部分ではあるが、それほどインド人の生活には天候が切り離せないのである。
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